学而不思則罔、思而不学則殆。

高校国語科教員が何か書きます。

藤田さん授業見学

今日は西川研OBの藤田純祈さんの授業を見学しに、茅ヶ崎市立第一中学校に行ってきました。

 

まず、授業の様子。

生徒を学びに引き込む力が圧倒的だった。生徒が前のめりで授業に参加しているのが伝わってきた。

本時の大きな問いは「未来から来たあなたが独立戦争終結時によりよい国になるよう条文を一文加えるとしたら?」

ステップ1では全時までの復習。2分間と時間を区切ってテンポよく進む。個人での作業。〈時間が決まっている中でどれだけのパフォーマンスを発揮できるか〉といったフィードバックも行い、時間制限を設ける意味も語る。

ステップ2では「良い国とは何か?」というお題でブレインストーミング。個人で2分間行った後、「『啓蒙思想』の考え方取り入れた人いる?『啓蒙思想』ってなんだっけ?」と問い、相談可にして3分延長。「良い国とは何か」自分のものさしを持っていることの重要性を語る。

ステップ3では大きな問いに向かう。「独立宣言に何か面白い一文を加える」ことが課題。25分ほど時間を取る。

僕が張り付いて見ていた子は「南北戦争」「人権」「抵抗権」などキーワードを出しながら、「経済的に平等である」旨の言葉を入れるという結論に落ち着いていった。初めは3人組で熱い議論を交わしていたのだが、途中途中色々な子がその子のところに来て質問したり話し合ったりしていた。その子はかなり勉強ができる方であるらしく、ずっと議論していた。

途中で藤田さんが話し合いを切り、教室の後ろの方に生徒たちを呼んだ。この時、全員がパッと藤田さんのところに駆け寄っていくのはすごかった。

藤田さんは「君たちは未来から来たんだよ?『南北戦争を止めるために』『今のアメリカを想定して』『今のアメリカの問題は?』いろいろな視点があるよね」とフィードバックを挟み、時間を少し延長。最終的にステップ3では30分ほど生徒が活動していた。

活動の後は3人の生徒の記述をピックアップし全体へと共有。藤田さんが面白いと思った記述を紹介していた。

授業の最後に「例えばこういう授業のとき、何も書けない人はなぜ?どうしたらいい?できないもの同士で固まっているのって時間がもったいないよね」「書けなかった人の中には、問題には答えがあると思ってしまって何を書けば良いのか分からなくなってしまった人もいたのでは?今日の問題には答えがない。答えのない問題に答えられないのは君たちの弱いところ」「こういった問題にも答えを思いついてほしいし、思いつかなければ思いつく人とつながってほしい」とフィードバック。ここは結構バッサリと切っていたようにも思うが、生徒との信頼関係があってこそのものなのだと感じた。

藤田さんの授業力に圧倒された時間だった。

 

次に、授業後の振り返りでのやり取り

今の子どもたちに「はい、どうぞ」で任せるのはリスクが大きい。理由は主に、愛着障害の子が増えていること、クラス内で常に主導権争いが起きており、そのような状況で全てを任せるのはリスクが大きい。

教師が主導権を握るこのと重要性を述べていた。主導権を握るとは「あ、この人の授業はおもしろいし価値があるな」と思わせられるか、ということか。藤田さんは授業の中では極力だれる時間を作らないことを意識されていた。だから時間も区切るし、途中で止めることも厭わない。

『学び合い』は引き算の美学と捉えられがちだが、何もしない中で何を覚悟を持ってするのかを今一度考える必要があるとおっしゃっていた。「大人だって校長がなにもしない中、職員室で力を発揮できるだろうか?校長は相当なリーダーシップを発揮しなければ職員は力を発揮できないのでは?例えば学年部の構成を職員に任せたらうまくいくだろうか?」などと、リーダーの重要性をおっしゃっていた。

 

今一度、子どもたちを信じるってなんだろう、授業のあり方ってなんだろう、教員の役割ってなんだろうと考えさせられた。研究についてもいろいろとご指摘いただいた。非常に濃い時間を過ごさせていただいた。

ありがとうございました。