学而不思則罔、思而不学則殆。

高校国語科教員が何か書きます。

『断絶への航海』読了

『断絶への航海』読了しました。

 

読みにくい小説とされていますが、後半はあまりそれを感じる事なくスイスイと読み進めることができました。

一つの章の文量が適度なので、毎日定期的に読むのに丁度良かったです。

裏を返せばストーリーを追うことを意識して、細部の設定で分からないところは飛ばしたということですかね。

ただ、こういう読み方も大いにありだと思います。

難しいところを無理に理解しようとして、肝心な面白いところに辿り着けないのはもったいないですからね。

 

この小説が難しいとされているのは、第一に工学や物理学の専門用語がバンバン出てくるところです。

特に物質と反物質の理論のくだりのところはわけわかめでした。

まじで意味わからん。

分からない人は言葉が分からない。

それを実感しました。

 

難しい理由の第二に、登場人物が非常に多いことが挙げられると思います。

章ごとに中心となる人物が変わってくるので、途中から誰が誰だか分からなくなります。

僕は付箋に登場人物の概略と、人物同士の関係をメモしながら読みました。

簡単なメモでもあるのとないのとでは大違いです。

一つの読書術として、生徒にも紹介してみます。

 

本編も面白いですが、巻末の解説も面白いです。

「しっぺ返し作戦」の優れているところと限界をあらためて知ることができました。

映画化してもっと認知が広まって欲しい小説ですね。