学而不思則罔、思而不学則殆。

高校国語科教員が何か書きます。

羅生門

 先日同僚の国語の先生と「羅生門」について少し話した。その先生曰く、「『羅生門』って映画的ですよね。例えば『雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出した甍いらかの先に、重たくうす暗い雲を支えている。』ってとことか、別にいらないじゃないですか。ただ風景を描写するのって、映画の間のようですよね。『それから、何分かの後である。羅生門の楼の上へ出る、幅の広い梯子の中段に、一人の男が、猫のように身をちぢめて、息を殺しながら、上の容子ようすを窺っていた。』って映画の暗転ですよね。別に言い直さなくてもいいのに。」等々。

 このことに生徒が気付くにはどのような課題にすればいいかあれこれ考えた。僕だったら「『羅生門』には映画のような描写がいくつかある。それが表れている記述を本部から抜き出し、なぜ映画のようだと言えるのか説明せよ。」といった課題にする。ヒントとして「暗転」「クローズアップ」「引き」の語句と意味を用意しておくかもしれない。その先生は生徒から「映画のようである」と言う意見を引き出したいと言っていた。どうなるのか楽しみ。