学而不思則罔、思而不学則殆。

高校国語科教員が何か書きます。

「最初のペンギン」3-A①

 「山椒魚」の単元が終わり、新しい単元に入る。今回は脳科学茂木健一郎の「最初のペンギン」という評論を扱っていく。

 3-Aクラス(仮)。単元の初回ということで、目標は「全員が、本文をスムーズに読むことができる。」課題は教科書本文に出てくる漢字の読み書きの課題と、意味から該当の単語を調べる課題(『すぐ実践できる!アクティブラーニング高校国語』を参考)の2つ。時間は38分間。

 今回は今までで一番凄かった(語彙力…)。学び合う集団とはこういうものかと感じた1時間だった。授業公開週間でもあったので、何人かの先生が見学に来てくださったが、その先生方も「おもしろい」と言ってくださった。僕自身とても楽しかった1時間だった。

 課題自体はとてもシンプルで、漢字の読み書きと語句の意味当てである。一番早い子は開始15分で達成していた(『学び合い』の課題の分量の目安は1番できる子が15分で達成できる程度だから、ベストな分量だったのかもしれない)。

 凄いと思ったのは、まず、誰一人として遊ぶものがいなかったこと。これは、目標がよかったのではないかと思う。「全員が、本文をスムーズに読むことができる。」という目標には、ある意味で終わりがない。だからこそ、課題を達成したあとも、一人一人がこの目標に向かって遊ぶことなくやり続けてくれたのだと思う。課題以外の語句の意味を調べる子、音読し合う子、クイズを出し合う子など、それぞれの方法で学び続けてくれた。一時、だれる瞬間があったが、「今日の目標はなんだったかな?課題が終われば今日の目標は達成したことになるのかな?」と全体に呟くと、それぞれが考えて行動してくれた。

 次に、「一人も見捨てない」ということに近づいたこと。課題を達成できない子は毎回大体同じである。今までだったら、2、3人の子がその子に関わっておしまいだったのだが、今回はクラスの子ほぼ全員がその子に関わってくれた。一時、最後の一人に群がる場面があったが、あんまり多過ぎても意味がないと思ったのだろう、それぞれができることに戻っていく場面があり、自分たちで考えて行動するようになったと感じた。黒板のネームプレートを見て行動してくれる子も増えてきた。

 このクラスは『学び合い』の授業の満足度が非常に高いクラスである。他者と関わることの有効性を納得してくれているのだと思う。自分の力を授業に全振りしている甲斐があるというものだ。

 

 今回のハイライト

 ・本文中に「めくるめく」という言葉があり、意味は「目が眩む様子」。ある男子が友達に「ちょっと目ぇくらんでみてや。」と言っていたのには爆笑してしまった。

 ・「今日」という言葉があるが、これは文脈によって「きょう」とも読むし

「こんにち」とも読む。そこに気がついた生徒が、どのようなときに、どちらの読みになるのかをiPadで調べていた。主体的に学ぶ姿がそこにあった。