学而不思則罔、思而不学則殆。

高校国語科教員が何か書きます。

『サバイバル アクティブ・ラーニング入門』西川 純 明治図書 2016年2月初版第1刷

 なぜ、アクティブ・ラーニングをしなければならないのか。この疑問に明確に答え、危機感を持たせてくれるのが本書である。読みながら、生徒の顔が浮かんだ。あいつは生き残れるだろうか。僕には何ができるだろうか。

 

 以下自分の読書メモ

 ジェイムズ・アベグレンは日本型経営の特徴として「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」の3つを挙げている。私たちはこれらがずっと続くと思っている。しかしこれらは好景気だからこそ続けられるものだ。景気が良くない今、そしてこれからは特に「終身雇用」は無くなっていくだろう。終身雇用が無くなるということは、企業は即戦力、つまり、採用された瞬間から給料分働くことのできるエリートを欲しがる。そして大多数の子どもは非正規で働かざるを得なくなる。そのような社会において、学校はどのように子どもを育てればいいのか。

 学校は、子どもが20年、30年、40年後も生き残ることを見据えて日々の教育に取り組まなければならない。子どもが生き残るために必要な能力は4つである。

 1.答えのない質問に対し数十分議論できる能力(特にエリート)

 2.自分と年齢の違う人と一緒に働ける能力(=クビになりにくい)

 3.万が一クビになった時に、職を紹介してくれる仲間を持てる能力

 4.最終的に生活保護を受けざるを得なくなった時に、協力してくれる仲間を持つ能力

この4つの力を学校で獲得させること、つまり子どもを大人にすることが、教育の達成すべきことである。これらを達成するために、アクティブ・ラーニングがある。だから、「少し言語活動を増やせばいいや」ぐらいの気持ちでアクティブ・ラーニングを捉えてはいけない。ではどのようにして4つの能力を獲得させ、子どもを大人にさせるのか。

 子どもを大人に育て、有能な社会人に育てるには次のことしかない。

  任せ、失敗させ、乗り越えさせること

そのために『学び合い』の考え方がある。

 

 彼らが生き残るために、危機感を持たなければならない。チョーク&トークでは、彼らは生き残れない。

 

 

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※プーさんは完全に筆者の趣味であり、本書とはなんら関係がない。