我々大人は、子どもに対してとかく引き算の言い方をしてしまう。
「〜をしないとテストで点が取れないよ!」「〜をしないと良い学校に行けないよ!」「〜をしないとろくな大人にならないよ!」等、あげれば枚挙にいとまがない。
しかし、僕の経験上、そう言われると余計に言うとおりにしたくなくなる。「うるせぇなぁ。」としか思わない。
この前、授業の時間を使って、生徒に何でも良いから質問する時間をとった。そのときに、生徒から出た質問。
生徒「先生、私はある授業で必ず眠くなってしまいます。どうしたらいいでしょうか?」
僕「そうかぁ。例えばメモをとるとかすると眠くならないんじゃないかな?」
生徒「それもやっているんですが、どうしても…。」
僕「うーん。」
生徒「あと、私が寝ちゃってるのは悪いんですが、起こし方が癇に障るんです。」
僕「うーん。じゃあ、眠くなってしまうことをその先生に言ったら?」
生徒「???」
僕「つまりね、『先生、私は先生の授業をちゃんと受けようと思っているんですが、どうしても眠くなってしまう時があります。それは私が悪いってわかってるんです。でも眠くなってしまいます。どうしたらいいですか?』って聞くんだよ。もちろん、ちゃんと起きる努力をすることが前提だけどね。」
生徒「どうしてですか?」
僕「もし僕だったら、そのように言ってきた生徒に対して、『正直者だなぁ。』と思う。そうしたら次に君が寝てしまったとしても、その先生も優しく起こしてくれるんじゃないかなぁ?そして、君が毎回の授業をちゃんと受けようという姿勢でいるならば、その先生にも君が頑張っていることは伝わるよ。」
生徒「なるほど…。」
生徒にとって、授業中に寝ることが良くないこと、損であることはわかっている。だから、改めて「それは損だよ。」という言われ方をすると、「わかってるよ!」となる。だから、「その行動は損である。」という言い方よりも、「こう行動したら得である。」という足し算(得)の言い方の方が良いのではないだろうか?