学而不思則罔、思而不学則殆。

高校国語科教員が何か書きます。

「練習問題」阪田 寛夫

「練習問題」という詩がある。

 

「ぼく」は主語です

「つよい」は述語です

ぼくは つよい

ぼくは すばらしい

そうじゃないからつらい

 

「ぼく」は主語です

「好き」は述語です

「だれそれ」は補語です

ぼくは だれそれが 好き

ぼくは だれそれを 好き

どの言い方でもかまいません

でもそのひとの名は

言えない

 

語り手は何歳ぐらいなのだろうかと思う。

「主語・述語」について習うのは小学校2年生からか。

練習問題のために作られた文、形式的な手続きを行うことを目的として作られた文が、「ぼく」にとっては切実に響いてくる。

 

この詩のリズムは繰り返しにある。

第一連と第二連で「『ぼく』は主語です 『○○』は述語です」というフレーズとその後に例文(「ぼくは つよい ぼくは すばらしい」「ぼくは だれそれが好き ぼくはだれそれを好き」)が繰り返される。

最後の一行では、語り手が例文を受けての思いを語る。

第二連のはじめに第一連のフレーズが繰り返されることによって、読者は最後に語り手がまた例文を受けての思いを語るのだろうと予測する。

詩の最後は「でもそのひとの名は 言えない」。

第一連の「そうじゃないから つらい」と重なり合って、思うようにならない自分と淡い恋心が表現されている。

 

うーん、『詩のトリセツ』を読んで自分なりに批評してみたけど、上手く書けない。

これも経験ですね。