『語る禅僧』(南直哉 著 ちくま文庫2010年11月10日第1刷)の一節。
真に信じる人間とはー悩みのなくなった人間ではない。また、悩むことをやめた人間でもない。悩むことを恐れず、そこから逃げない人間なのだ。問題を正面から引き受ける力を得た人間のことだったのである。
釈尊は人生は苦であると言った。しかし、だから死んだ方がましだ、とは言わなかった。彼は、それでも人は生きるべきだ、と言ったのだ。ならば、生きるかぎり悩まねばならない。この覚悟こそ最初の発心である。
生きるかぎり悩む。
示すべきは、悩みのない姿などではなく、悩み続ける姿。