学而不思則罔、思而不学則殆。

高校国語科教員が何か書きます。

安易に頼むこと勿れ

地元のインドカレー屋に行った。

お店に入ると人懐っこそうな店員さんが迎えてくれる。

いかにもインドカレー屋さんといった店内で、インドの音楽が流れ、ゾウが描かれた織物が飾られている。

結構お腹が減っていたので、カレー2種、チーズナン、マンゴーラッシーのセットを頼む。

この選択、色々とミスっていた。

 

カレーは挽肉とシーフードにした。

これは美味しかった。

スパイシーで、爽やかな味だった。

 

問題はチーズナンだった(意外なことにマンゴーラッシーも地味に追い打ちをかけた)。

丸皿に盛られたチーズナンはピザのように放射状にカットされていた。

僕はてっきりチーズが練り込まれたナンが出てくるものだと思っていたが、その認識は甘かった。

薄いナンの上に倍以上の厚さのチーズが盛られ、それをまた薄いナンで挟んでいる。

これはもはやチーズである。

しかもこのチーズ、なんだか甘いのである。

カレーは確かにスパイシーなのだが、このチーズナンと一緒に食べるとそのスパイシーさが打ち消されるのであった。

 

あわてて付け加えるが、味は美味しい。

そして、店員さんはなにも悪く無い。

色々とミスったのは私なのだ。

 

さて、ドロっとしたチーズナンで、ドロっとしたカレーを掬ってたべる。

そうなるとやはりサッパリとしたいところ。

ということでマンゴーラッシーを飲むのだが、なんとこのマンゴーラッシーもドロっとしている。

ストローで吸ってもなかなか口に届かない。

机の上にあったサラッとしたものといえば水だけであった。

 

チーズナンを半分食べたところで正直お腹いっぱいだったのだが、残すわけにはいかない(最後の方でお持ち帰り出来ることを知る)。

隣の席の二人組が「辛さちょうどよかったね〜」なんて会話をしていると、すかさず店員さんが「辛さどうだった?あんまり?」みたいに聞いてくる。

純粋な黒い瞳を輝かせて。

 

お腹ぎパンパンになってきているので、食べるペースはゆっくりとなる。

「あと二切れ!」となったところで店員さんが「おかわりいる?」

ごめんよ店員さん。無理です。

 

残すなんてとんでもない。

きっと悲しい顔をするだろう。

「美味しくなかった?」なんて聞かれたらどうしよう。

味は最高なのだ。

ただ、チーズナンが重たすぎたのだ。

しかしそのことを相手を傷つけずに伝える術を僕は知らなかった。

 

ということで何とか全てを胃袋に収め、亀のような足取りで店内を後にする。

会計の時に店員さんに「おいしかったです」と言ったのが精一杯だった。

 

今度は普通のナンで食べてみたいな〜。