学而不思則罔、思而不学則殆。

高校国語科教員が何か書きます。

『自立する子の育て方』(工藤勇一 青砥瑞人 著 SB新書)

 元麹町中学校校長の工藤勇一さんと、脳神経科学者の青砥瑞人さんの共著。心理的安全性とメタ認知をキーワードにしている。

 以下読書メモ。

  • 麹町中学校の学校目標は「自律」「尊重」「創造」。
  • 上の3つの力を育てる上で最も重要なのが「当事者意識」。
  • 大人が手をかけすぎると子供は自律できなくなり、他責思考になる。これは、自己決定の機会が与えられず、自分で考える・新しいことに挑戦する姿勢が育たないから。また、サービスの過剰によってサービスしてもらうことが当たり前になり、サービスの質に不満を言うようになるから。
  • 他責思考の子供は共通して自分のことが嫌い。
  • 当事者意識を育てるためには、失敗しても大丈夫な環境で積極的にトラブルを経験してもらう必要がある。
  • そのためには、失敗ができる心理的安全性と、トラブルに直面した時に生まれる葛藤や失敗を学びにつなげるためのメタ認知が必要。
  • 心理的安全性を構築するためには、「失敗しても大丈夫」「失敗こそが学び」という共通認識と環境整備が必要。
  • 心理的安全性を構築するための3つの言葉がけ(1「どうしたの?」2「君はどうしたいの?」3「何を支援してほしいの?」)
  • 3つの言葉がけは、頭ごなしに叱らず、自己決定させ、必要であればサポートがあることを表明するもの。
  • 「人は失敗するもの」「完璧な人間なんていない」「失敗を咎めない」という認識が浸透しないと、本当の安心感は生まれない。
  • 人と比較しない。過去の自分と比較して成長できたかどうか。
  • メタ認知力を高めるために「自分で課題に気づき、自分なりに解決策を考えてもらうこと」を徹底する。
  • 「自分を責めない」ことが大事。

 

 方法も色々と書かれていたが、それ以上に考え方を大切にしていることが伝わってきた。方法も大事だが、教員が本気で「失敗したっていいじゃん」と思っているかがやはり核なのだろうな。

 失敗できる環境づくりをどう構築していくか。果たして自分の授業は、学級経営は失敗ができ、再チャレンジできる環境になっているか。

 そんなことを考えました。